ブッチャートガーデン徹底ガイド|見頃の季節と巡り方
ビクトリア観光で外せない場所を一つ挙げるとすれば、私は迷わずブッチャートガーデン(The Butchart Gardens)を選びます。
石灰岩の採掘場跡地を、一人の女性が庭園に変えた場所です。開園から120年以上を経た今もなお家族経営で守られ、2004年にはカナダ国定史跡に指定されています。
この記事では、5つの庭園それぞれの見どころ、季節ごとの見頃、入園料と行き方、そして混雑を避けるコツまで、実際に5〜6回訪れた経験を交えて解説します。
ブッチャートガーデンとは:採掘場跡地から国定史跡へ
物語は1904年に始まります。ロバートとジェニー・バチャート夫妻がオンタリオ州からバンクーバー島へ移り、この地でセメント工場を設立しました。
やがて石灰岩を掘り尽くした採掘場は、荒れた穴として残されます。そこを庭園に変えようと考えたのが、妻のジェニー・バチャートでした。公式サイトには、彼女が馬と荷車で表土を運び入れたと記されています。造成には9年を要しました。

その後1906年から1929年にかけて日本庭園、イタリアン・ガーデン、ローズ・ガーデンが加えられ、現在の姿になりました。
- 公開面積:22ヘクタール(55エーカー)※園全体では53ヘクタール(130エーカー)
- 植物:900品種超
- 温室:26棟(約2エーカー)
- 年間来園者:100万人超
- カナダ国定史跡指定:2004年(開園100周年に合わせて)
1939年には孫のイアン・ロスが21歳の誕生日に園を譲り受け、夏の野外コンサートや夜間ライトアップを導入しました。1977年に始まった音楽と同期する花火ショーも、この時代の流れを受け継いだものです。今も創業家が経営を続けています。
基本情報:入園料・開園時間・所要時間
入園料は季節で大きく変わる
ブッチャートガーデンの入園料は、季節によって倍近く変動します。ここを知らずに行くと損をすることがあります。
| シーズン | 大人(18歳以上) | 子ども(5〜12歳) |
|---|---|---|
| 夏(6/1〜9/15) | 44.25カナダドル | 5.00カナダドル |
| 秋(10月) | 36.75カナダドル | 3.00カナダドル |
| 秋(11月) | 28.60カナダドル | 3.00カナダドル |
| クリスマス(12/1〜1/6) | 41.00カナダドル | 5.00カナダドル |
| 冬(1/7〜1/14) | 25.20カナダドル | 3.00カナダドル |
| 冬(2〜3月) | 33.75カナダドル | 3.00カナダドル |
| 春(4月) | 42.25カナダドル | 3.00カナダドル |
| 春(5月) | 45.60カナダドル | 5.00カナダドル |
もっとも高いのが5月(45.60カナダドル)、もっとも安いのが1月上旬(25.20カナダドル)です。価格差は花の量にほぼ比例していると考えてよいでしょう。
見落としやすい注意点が2つあります。
- 2027年1月18日〜31日は、従業員の休暇のため休園します(12月25日も休園)
- ゲート閉鎖後も1時間は園内を観覧できます。閉園間際の入園でも慌てる必要はありません
所要時間は1.5〜2時間が目安

公式サイトによれば、主要な遊歩道をゆっくり歩いて1.5〜2時間、距離は約1.5キロメートルです。ただしこれは「歩くだけ」の時間です。食事や買い物をするなら、3〜4時間を見ておくと余裕があります。
行き方:ダウンタウンからバス1本
ブッチャートガーデンはビクトリア市内ではなく、ブレントウッドベイ(Brentwood Bay)にあります。ダウンタウンから22キロメートルの距離です。
| 出発地 | 手段 | 所要時間 |
|---|---|---|
| ダウンタウン | BC Transit #75系統 | 50分〜1時間 |
| ダウンタウン | 車 | 35〜45分 |
| Swartz Bayフェリーターミナル | #81系統/#72+#75 | 約55分 |
| ビクトリア国際空港 | #87/#88+#81または#75 | 約60分 |
バスの乗り場は、フェアモント・エンプレス近くのベルヴィル・ストリート(Belleville St.)です。運賃は片道3カナダドル、または1日乗り放題のDayPASSが6カナダドル。往復するならDayPASSのほうが安くなります。
ただし重要な注意があります。 公式サイトは「午後の通勤時間帯の#75は、すべての便が園の敷地内に入るわけではない」と明記しています。行先表示を確認するか、運転手に尋ねてから乗車してください。
なお駐車場は無料です(夜間駐車は不可)。
園内の5つの庭園
公式サイトは園内を5つの庭園として紹介しています。それぞれ性格がまったく違うので、順に見ていきましょう。
サンクンガーデン(Sunken Garden)
採掘場跡そのものが庭園になったエリアで、園内でもっとも象徴的な場所です。
- 約5エーカー、151の花壇
- 春に向けて毎年約65,000球の球根を植栽
- 中央の石灰岩の丘(The Mound)が展望点
- ロス・ファウンテン(Ross Fountain)は1964年設置
緑に覆われた採掘壁を見上げると、ここがかつて工業用地だったことが信じられません。なおThe Moundは車椅子ではアクセスできません。
ローズガーデン(Rose Garden)
夏のブッチャートガーデンの主役です。
- 2,500株のバラ、280品種/7系統
- バラのアーチ30基
- 公式FAQによるピークは7月上旬。見頃は夏から初秋まで
アーチに絡むクライミングローズが夏の見どころです。ただしコンサート芝生からローズガーデンへの経路と園内は勾配が急と公式が案内しているため、足元に不安のある方は注意してください。

日本庭園(Japanese Garden)
日本から訪れる方に、私がとくに見ていただきたいのがここです。
公式ブログによれば、この日本庭園はジェニー・バチャートが日本人造園家・岸田伊三郎(Isaburo Kishida)と協働して作られたものです。「120年前」とされており、およそ1906年にあたります。公式は日本庭園を園内で最初の本格的な庭園と位置づけています。
- 約1エーカー
- 飛び石、200メートルの流れ
- 日本のカエデ74本
- ロードデンドロン・アザレア500株
- ヨーロッパ・カッパービーチは1906年の植栽
そして特筆すべきは、ヒマラヤの青いケシ(ブルーポピー)です。日本では栽培が難しいこの花を、5月中旬から6月中旬にかけて見ることができます。
注意:日本庭園と地中海庭園は、クリスマス期間(12月1日〜1月6日)は閉鎖されます。
イタリアンガーデン(Italian Garden)

かつてのテニスコートを庭園に変えたエリアです。
- 21,780平方フィート、18の花壇/85品種
- 春の球根・二年草を約22,000植栽
- マーキュリー(メルクリウス)のブロンズ像、十字形の池
- ジェラート店(Gelateria)併設
歩き疲れたらここで自家製ジェラートを食べるのが定番です。
地中海庭園(Mediterranean Garden)
駐車場に近い立地で、乾燥に強い世界各地の植物を集めたエリアです。21,780平方フィート、9つの花壇に74品種、低木200株。ビクトリアの気候が地中海性に近いことを実感できる場所です。
季節ごとの見どころ
公式サイトとFAQに基づく、季節ごとの見頃をまとめます。
| 時期 | 見頃の花・見どころ |
|---|---|
| 3月下旬 | ラッパスイセン、ヒヤシンスがピーク |
| 4月中旬 | チューリップ、サクラ、ハナミズキがピーク |
| 4月〜5月初旬 | 春の庭園全体のピーク |
| 5月中旬〜6月中旬 | ヒマラヤの青いケシ、ロードデンドロン、アザレア |
| 7月上旬 | ローズガーデンのピーク |
| 7月〜9月末 | 園全体がもっとも華やかに咲き誇る時期 |
| 10月中旬〜11月第1週 | 最も見事な紅葉、ダリア100品種超 |
| 12月〜1月上旬 | クリスマスのイルミネーション、屋外アイススケートリンク |
| 1月中旬〜3月中旬 | Spring Prelude(屋内の春庭園) |
春の植栽規模は圧倒的で、球根30万球超(スイセン80,000球/100品種超、チューリップ160,000球/190品種超)、ロードデンドロン3,000株/300品種超が植えられています。
夏の夜のイベント
夏に訪れるなら、夜のイベントも見どころです。いずれも入園料に含まれており、別料金は不要です。
- Night Illuminations(5月28日〜9月13日):日没後、3,000灯超のライトアップ
- Summer Firework Saturdays(7月4日〜9月5日):土曜夜、音楽と同期する花火ショー
- Summer Entertainment(7月3日〜9月5日):水〜日の夜、コンサート芝生での野外公演
- Boat Tours(5月16日〜9月15日):電動ボートで45分
開花時期・イベント日程はすべて天候に左右され、年により変動します。花火は悪天候で中止となる場合もあります。訪問前に公式サイトでご確認ください。
混雑を避けるコツ
これは実用的にもっとも大事な情報かもしれません。年間100万人が訪れる場所なので、時間帯の選び方で体験が変わります。
公式FAQが明示している空いている時間帯は次のとおりです。
- 毎日9:00〜10:30(開園直後の1時間半)
- 毎日15:30以降
- 夜間開園期間中は、夕方以降も比較的空いている
つまり午前中の早い時間か、15:30以降を狙うのが正解です。逆に混み合うのは、その間の10:30〜15:30ということになります。
そしてもう一つ、実体験からの注意点があります。
なお料金表からも分かるように、11月と1月が最安です。花の量は減りますが、人も少なくなります。
園内での食事とお土産
園内には複数の飲食施設があります。いずれも利用には入園料が必要です。
| 施設 | 内容 |
|---|---|
| The Dining Room Restaurant | バチャート家の元邸宅でのアフタヌーンティー。1名55カナダドル(税別)、12歳以下向け35カナダドル。予約推奨 |
| The Blue Poppy Restaurant | 元温室を改装したカジュアルなレストラン。予約不可・先着順 |
| The Coffee Shop | 軽食とコーヒー。暖炉あり、テイクアウト可 |
| Gelateria | イタリアンガーデン内。自家製ジェラート |
| Seed & Gift Store | 1920年代初頭から続く手詰めの花の種。オンライン販売・世界発送あり |
創業家の邸宅でアフタヌーンティーをいただけるのは、ここならではの体験です。エンプレスのアフタヌーンティー(114カナダドル)と比べると半額以下で、庭園を眺めながら過ごせます。

なおお土産だけ買いたい場合は、入場ゲートで申し出て30分以内に戻れば入園料が全額返金されます。これは知っておくと得な仕組みです。
訪問前に知っておきたい実務情報
公式FAQとアクセシビリティページから、実際に役立つ情報をまとめます。
- 車椅子:無料貸出(返金式デポジット10カナダドル、先着順)。ただしハンドブレーキなし
- ベビーカー:ビジターセンターで無料貸出(返金式デポジット、先着順)。園内におむつ交換台あり
- 勾配:120年超の歴史と採掘場跡の地形のため一部に急勾配があります。The Moundと桟橋はアクセス不可
- ペット:リード必須で同伴可。ただしクリスマス期間は20:00〜22:00のみ。花火の土曜は騒音のため非推奨
- 写真撮影:三脚は使用可。ただし自撮り棒・ドローン・プロの撮影セッションは不可
- 再入場:同日の再入場は可(花火の土曜・特別イベント日を除く)。翌日は追加料金で可。ハンドスタンプが必要
- 禁煙:駐車場を含む敷地全体が禁煙・禁ベイプ
- 飲食物の持ち込み:可(BBQは不可)
- 手荷物預かり:ビジターインフォメーションセンターで無料
この庭園をもっと知るために
バラ園でのプロポーズの話に触れましたが、私とビクトリアの関わりは23年、15回以上の渡航にわたります。この庭園を含めた街全体の歩き方や、私自身の背景については、こちらをご覧ください。
まとめ
ブッチャートガーデンを訪れる際の要点です。
- 入園料は季節で倍近く変わる。最高は5月、最安は1月上旬
- ダウンタウンからバス#75で1本、50分〜1時間。DayPASS(6カナダドル)が便利
- 午後の#75は全便が園内に入るわけではないので要確認
- 所要時間は歩くだけで1.5〜2時間、食事や買い物を含めるなら3〜4時間
- バラ園のピークは7月上旬。7月から9月末が園全体の最盛期
- 空いているのは9:00〜10:30と15:30以降
- 夏の土曜の晩は花火で混雑。静かに眺めたいなら避ける
- 日本庭園は日本人造園家・岸田伊三郎との協働で1906年ごろに作られた
石灰岩を掘り尽くした穴を、一人の女性が庭園に変えた。その発想と執念が、120年後に年間100万人を集める場所になっています。花の美しさだけでなく、その物語を知って歩くと、また違う景色が見えてくるはずです。
本記事の料金・時刻・イベント情報は2026年8月時点のものです。訪問前に必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。